フランス革命は歴史的に有名な革命のひとつですが、現代においても革命はたびたび起こっています。
最近で言えば「ジャスミン革命」からなる「アラブの春」がずいぶん話題になりました。
ではフランス革命と現代の市民革命に明確な違いはあるのでしょうか。
フランス革命における「市民」
フランス革命における市民というのは、現代で言う市民とは若干異なります。
この場合の市民は特権身分との対比として意味合いが強く、あくまで「第三身分=市民」という意味となります。
なので市民の中にもある程度資産を持つものもいれば、単純な労働力や奴隷に近い市民もいて、第三身分の中でも格差は存在しました。
フランス革命はブルジョワ革命
フランス革命における市民は「ブルジョワジー」と呼ばれる中産階級の人々です。
彼らは資産を有し裕福ではありましたが、身分としては第三身分のものたちでした。
なのでいくらお金を持っていて経済的な地位が下級貴族より上でも、社会的身分から免税対象ではありませんでした。
あくまで第三身分の彼らは参政権もない政治的弱者でした。
しかし18世紀のフランスではブルジョワジーは経済の発展にともなって、その地位を向上させます。
国家の財政が破綻しかけていたこともあり、税金暮らしの貴族よりも確実に優位になります。
もちろんそうなるとその地位に見合った権利を要求します。
特権身分への財政改革を含めこうした背景により、第三身分の市民が政治に関わることができるようになりました。
そしてこのとき力を付けたブルジョアジーがフランス革命において中心となるのです。
革命の目的は政治的な平等
さて現代における市民革命とは何か。
現代ではそもそもフランス革命時のような身分制度はありません。
現代における市民の定義は、ある社会(集団)を構成する構成員という意味合いが強いでしょう。
市民の定義から考えるとフランス革命と現在の市民革命は、厳密に言えば違うのかもしれません。
しかしながら市民革命の本質は旧体制からの脱却、そして個人が個人として平等の権利を持つことを目指すものです。
つまり民主主義を目指すということ。
また経済的にも個人が自由であることが望まれますので、同時に資本主義を目指すという側面もあるでしょう。
現代の市民革命は長期政権で独裁化していた地域で起こっています。
長期政権で独裁、というのはフランスの絶対王政によく似ています。
そういった意味では長期政権が多いアラブ諸国で革命運動が広範囲に広がったのは納得できますね。